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乳酸菌とは?効果や種類、乳酸菌を多く含む食品を紹介!


乳酸菌は一般によく知られている菌ですが、その効果については「腸内環境に良さそう」というなんとなくのイメージしか持っていない方も多いと思います。

ただ、近年の研究によると、乳酸菌には腸内環境を整える以上のさまざまな良い効果があるといわれています。

そこでこの記事では、乳酸菌の効果や種類、乳酸菌が多く含まれる食品などを紹介します。

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乳酸菌とは?

まずは、意外に知られていない乳酸菌の概要や種類、乳酸菌の歴史について解説します。

乳酸菌の概要

乳酸菌とは、1種類の菌を指すのではなく、糖から乳酸を作り出す微生物の総称です。自然界のあらゆる場所に存在し、その種類は2,000種類にもおよびます。

人間の身体にはおよそ1,000種類の細菌が存在しますが、乳酸菌はこのうちの約40種類を占めるとされています。乳酸菌は人間の身体にとって良い影響をおよぼす、代表的な善玉菌です。

ただし、アジア乳酸菌学会連合フェローの齋藤忠夫先生によると、加齢に応じて体内の善玉菌は徐々に減少していくとされています。具体的には、生まれたばかりを100%とした場合、60代では約1%にまで減少してしまうのです。

乳酸菌のような善玉菌が減り、大腸菌などの悪玉菌が優勢になると、身体にさまざまな悪影響が生まれると考えられています。健康のためには、乳酸菌をはじめとした善玉菌の数を意識して保つことが大切といえるでしょう。体内の乳酸菌が減少する要因としては、ストレスや食生活の影響もあるため、生活習慣の乱れには日頃から注意する必要があります。

代表的な乳酸菌の種類

乳酸菌には非常に多くの種類がありますが、今回は人間の身体にとって身近で重要な、「シロタ株」「乳酸球菌」「ビフィズス菌」の3種類について紹介します。

シロタ株は、細胞の形状が棒状あるいは円筒状の乳酸菌(乳酸桿菌)の一種です。生きたまま腸内に届く菌で、人間の身体にとって有益な菌を増やし、悪い菌を減らす働きをします。その他にも、発がん促進物質のような有害物質を減らす、腸内環境を改善し便通を整える作用などを持ちます。

乳酸球菌は、乳酸桿菌と違って細胞の形状が球形の乳酸菌です。牛乳や乳製品に多く見られるほか、ピクルスなどの植物性発酵食品などにも含まれています。乳酸球菌のなかにもさまざまな種類があり、例えばおもに小腸に定着する「フェカリス菌」は増殖スピードが速く、体内のビフィズス菌増殖のサポートをする働きがあります。

ビフィズス菌は広い意味で乳酸菌の一種ですが、その他の乳酸菌とは大きく異なる性質(乳酸だけでなく酢酸も作る、酸素を嫌う)を持つ菌です。そのため、乳酸菌とは独立した存在として扱われることもあります。

腸の働きを良くする整腸作用、病原菌をはじめとした有害な菌の増殖を抑える作用があり、代表的な善玉菌として知られています。酸に弱く生きたまま腸内に届けることが難しいため、すでに腸内に存在しているビフィズス菌を増やすために、オリゴ糖の摂取なども重要です。

乳酸菌に期待される効果5選


近年の研究によって、乳酸菌はさまざまな病気・症状の予防や、健康維持に役立つことがわかってきました。ここでは乳酸菌に期待される効果のうち、代表的なものを5つ紹介します。

便通の改善

乳酸菌の効果として代表的でよく知られているのが、便通の改善効果です。便秘にはさまざまな原因・症状がありますが、腸の動きが悪いことによって起こる便秘は、乳酸菌によって改善が見込めます。

乳酸を作る乳酸菌を摂取することは、腸内を酸性の環境に傾けます。これによって大腸が刺激されるとともに、腸内の腐敗や悪玉菌の繁殖が抑制され、腸が元気になって便秘が改善される仕組みです。もちろん、乳酸菌を摂取することで腸内環境が整うこと自体も、便秘解消に効果的といえます。

コレステロール値の低下

乳酸菌には、血液中のコレステロール値を減少させる効果があるとされています。

コレステロールは、腸内の消化酵素の一種である胆汁酸の原料になりますが、ある種の乳酸菌には胆汁酸を分解する働きがあります。乳酸菌の働きによって体内の胆汁酸が不足することで、不足分を補おうとする際に、血液中のコレステロール濃度が低下するとわかっています。

コレステロール値を抑える種類の乳酸菌には、ヨーグルトや乳酸菌飲料にもよく配合されているビフィズス菌SP・ガセリ菌SP・ラブレ菌などが挙げられます。また、カスピ海ヨーグルトに含まれているクレモリス菌FC株なども、コレステロール値を下げる乳酸菌の一種です。

免疫力の向上

人間の免疫細胞の約7割は、腸管に集中しているといわれています。つまり、腸内環境を改善し免疫細胞を活性化させることが、病原菌やウイルスから身体を守ることに直結するということです。乳酸菌は腸内環境を整えるほか、免疫細胞を活性化する作用もあるため、免疫力を高めるといわれています。

免疫力アップに役立つ乳酸菌の種類としては、ラブレ菌・ガセリ菌・R-1などが挙げられ、風邪やインフルエンザ予防効果が期待されています。

アレルギー抑制効果

乳酸菌による腸内環境改善は、アレルギー抑制効果にもつながるといわれています。

アレルギー反応を持つ人は、健康な人と比べて体内の善玉菌の数が少ないという研究結果が出ています。また、アレルギーは免疫機能が正常に働かないことにより起こるため、乳酸菌によって善玉菌を増やすとともに免疫機能を正常に導くことで、アレルギーを抑えることにつながるのです。種々のアレルギーのなかでも、特に花粉症には効果が見込めるとされています。

美肌効果

腸内環境と肌の状態は、非常に関係性が深いといわれています。腸内環境を整える乳酸菌は、肌の健康を保ち美肌に導く効果も期待できます。

腸内で悪玉菌が増殖すると排出される毒素が、それが腸から吸収されると全身に運ばれて皮膚にも到達します。乳酸菌は悪玉菌の増殖を抑制するため、結果的に体内の有害菌の増殖を抑えることにもつながり、肌への悪影響を抑えてくれるのです。また、腸内環境を整えることで、排泄や代謝が促進されることも、肌の調子を改善させる要因となります。

乳酸菌を含む食品リスト


乳酸菌を多く含む食品と、乳酸菌の働きを補助する食品を紹介します。

乳酸菌を含むおもな食品

乳酸菌を多く含む代表的な食品の一つが、ヨーグルトです。ヨーグルトは動物の乳に乳酸菌やビフィズス菌を加えて発酵させた食品で、製造過程ではさまざまな種類の乳酸菌が使われています。

商品パッケージに乳酸菌の種類を記載しているものも多くあるので、いくつかの商品を試してみて、自分の身体に合った乳酸菌を見つけるのもおすすめです。ヨーグルトに加えられている乳酸菌の種類としては、ビフィズス菌・ガセリ菌・ブルガリクス菌・シロタ株などが挙げられます。

発酵食品であるキムチにも、多くの乳酸菌が含まれています。キムチを摂取することによって腸内細菌のサポート効果が見込めますが、塩分が濃い食品なので摂取しすぎには注意しましょう。

チーズも乳酸菌を含む食品の一つです。なかでも「ナチュラルチーズ」には、1gあたりヨーグルトと同程度である約1,000万個の乳酸菌が含まれています。ただし、同じチーズでも「プロセスチーズ」には乳酸菌が含まれていないため注意してください。プロセスチーズは製造過程で加熱されるため、その段階で乳酸菌が死滅してしまうからです。

ヨーグルト・キムチ・チーズ以外にも、以下のように乳酸菌を含む食品・飲料は多くあります。

  • ・日本酒
  • ・漬物(ぬか漬けなど)
  • ・味噌
  • ・納豆
  • ・塩辛
  • ・ザーサイ
  • ・メンマ
  • ・乳酸菌飲料

乳酸菌を増やす作用があるおもな食品

腸内の乳酸菌を増やすには、乳酸菌を含む食品を摂取するほか、乳酸菌のエサとなる食品を摂取して増やす方法があります。乳酸菌のおもなエサになるのは、「オリゴ糖」と「食物繊維」なので、この2つを意識して食生活に取り入れるとよいでしょう。

オリゴ糖を多く含む食品には、例えば以下のようなものがあります。体質や体調によっては、オリゴ糖の摂取を急に増やすとお腹がゆるくなったり、張ったりすることもあるので、徐々に摂取量を増やすのがおすすめです。

  • ・大豆などの豆類
  • ・たまねぎ
  • ・ねぎ
  • ・にんにく
  • ・ごぼう
  • ・アスパラガス
  • ・ブロッコリー
  • ・カリフラワー
  • ・アボカド
  • ・バナナ など

食物繊維を含む食品は、以下のようなものが代表的です。

  • ・穀類(玄米、胚芽米、麦めしなど)
  • ・そば
  • ・ライ麦パン
  • ・芋類(さつまいも、里芋、こんにゃく、しらたきなど)
  • ・きのこ類(しいたけ、しめじ、えのきなど)
  • ・豆類(大豆、小豆、納豆、インゲン豆、おからなど)
  • ・海藻類(わかめ、ひじき、寒天、ところてんなど)
  • ・野菜(ごぼう、ふき、青菜類、アスパラガス、キャベツなど)

日頃食べているものを食物繊維が多いものに置き換えるのも、自然に食物繊維摂取量を増やすのにおすすめの方法です。例えば、白米から玄米や胚芽米に、食パンをライ麦パンに置き換えるなどするとよいでしょう。

まとめ

なんとなくお腹に良さそうなイメージがある乳酸菌ですが、その整腸作用は便通の改善・コレステロール値低下・免疫力増強・アレルギー抑制・美肌など、さまざまな効果につながります。

乳酸菌を含む食品や体内の菌を育てる食品は身近に存在するため、日頃から積極的に摂取するとよいでしょう。ただし、十分な量の乳酸菌を食事だけでまかなうのは難しいため、より効率的に乳酸菌の効果を得たい方は、サプリメントの活用なども検討してください。

齋藤忠夫先生

1952年東京生まれ。1982年東北大学大学院農学研究科修了。
東北福祉大学講師を経て、1989年に東北大学大学院農学研究科助教授
2001年より教授。専門は畜産物利用学・応用微生物学。
現在、アジア乳酸菌学会連合フェロー農学博士

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